日本のお墓は先祖代々その家の長男が承継していくもので、長男以外の子どもたちは、分家となって自分たちでお墓を建てるのが一般的でした。
では、さまざまな理由で長男がお墓を継ぐことができなかった場合や、次男が未婚、または子どもがいない場合などでも、自分でお墓を作らなければならないのでしょうか?
ここでは、お墓の原則について触れながら、次男が先祖代々のお墓に入る場合の条件について、詳しく解説していきます。
お墓の原則
お墓は本来「家制度」というものを原則にしています。これは、先祖代々のお墓やその家のお墓に入ることができるのは「家の承継者とその配偶者のみ」という考えのことです。家制度でいうところの「家の承継者」は長男のことで、永代使用権を持っている長男とその配偶者(妻)しか入ることができません。そのため、次男が結婚して独立した場合には、分家となり新たに自分のお墓を建てる必要があります。
ただし、この考えはあくまでも原則であって法的な制約はありません。家制度が廃止されて50年以上が経ち、個人の価値観が多様化している現代では、お墓に対する考え方も柔軟になってきています。そのため、次男が先祖代々のお墓に入ることに抵抗がないという方が増えていますが、霊園などの使用規則で禁止されている場合もあります。
次男がお墓に入るための条件
例えば次男が独身だったり、結婚していても子どもがいなかったりした場合、わざわざ自分のためだけにお墓を建てることはせず、長男が承継する先祖代々の墓に次男も一緒に入ることも可能です。ただし、それにはある一定の条件をクリアする必要があります。次男がお墓に入るための条件を詳しく見ていきましょう。
永代使用権を持っている人が認める
永代使用権を持っている人、つまりお墓の承継者が認めていれば次男が先祖代々のお墓に入ることができるケースが多いようです。ただし、後々トラブルに発展することを防ぐためにも、承継者だけでなく、いずれそのお墓に入る予定の家族全員の合意を得た方が良いでしょう。
また、たとえ永代使用権を持っている人が許可していても、霊園などの使用規則で禁止とされている場合にはそれに従う必要があります。墓地や霊園によってはお墓に入れる人を細かく定めているところもありますので、事前に必ず確認しておきましょう。
次男が祭祀財産を相続する
そもそも次男が祭祀財産を承継して、そのお墓の永代使用権を得た承継者となることも可能です。遺言等で指定されている場合には手続きもスムーズですが、指定されていない場合には相続人間の話し合いで決める必要があります。次男が承継することに反対意見がある場合などには、家庭裁判所に決定を委ねることになります。
◎未婚率の増加や少子化、核家族化など、家族形態の変化とともに、お墓に対する考え方も変わってきています。長男以外の子どもが実家のお墓に入る場合には、上記の内容を参考にして、家族で相談して決めることをおすすめします。